NC工作機械とは、あらかじめ入力・設定されている数値をもとにして様々な金属加工などを行う工作機械の総称です。NC工作機械を活用することで、金属部品の不要な部分をカットしたり削り落としたりして目的の形状へ加工することが可能です。
このページでは、NC工作機械の特徴や導入メリット・デメリット、産業用ロボットとの違いなどを解説していますので参考にしてください。
NC工作機械とは、金属加工を行う製造現場などで用いられる工作機械であり、あらかじめ設定されている数値データにもとづいて制御されることから「数値制御(Numerically Controlled:NC)」という略称が冠されています。
NC工作機械は事前に加工プログラムとして、機械の運動位置や速度などが数値化されたNCプログラムが設定されており、実際の作業時にはそれを反映させるため、同じ規格・サイズの製品や部品を量産する際に有効です。
また、コンピュータによって管理・制御されているNC工作機械を特に「CNC工作機械(Computerized Numerically Controlled:CNC)」と呼びます。
NC工作機械は事前に設定されているNCプログラムに則って作業が行われるため、同じ規格・同じ品質の加工を大量生産することが可能です。
プログラミングと設定さえ適正化できれば、作業員の経験や技術などによって品質のバラつきなどが発生しないため、不良品発生やヒューマンエラーの防止にもつながります。
工場をオートメーション化して24時間の稼働体制を整備すれば、製造ラインを自動化して生産性を向上させられる点がメリットです。
複数のNC工作機械を同じ作業員やエンジニアが担当できるようになり、加工作業の省人化を促進できます。また、製造ラインへNC工作機械を組み込むことで作業全体の効率化を進められることも重要です。
省人化や省力化、効率化によって人材マネジメントを見直せる上、人件費などのコストを削減でいる点も見逃せません。
適切なプランニングにもとづいてNC工作機械を導入することで、汎用機械では作業が困難とされる三次元加工も精密に実現できることはメリットです。
また、プログラムを変更することで、異素材や異なる設計の加工にもスムーズに移行できます。
当然ながら、NC工作機械を導入するためには導入コストがかかります。また、電気代や定期的なメンテナンス費用といったランニングコストがかかることも無視できません。
そのため、NC工作機械を導入する際には、必ずランニングコストやアフターサービスについても事前に確認しておくことが重要です。
NC工作機械はプログラムに従って制御されるため、そもそもプログラムとして入力・設定される数値などに誤りがあれば、そのまま不良品が量産されてしまいます。
NC工作機械を活用する場合は、必ず数値が正確であるかどうか適切にチェックできる体制を整えなければなりません。
NC工作機械を操作したり、NCプログラムを作成したりするための技術やスキルも必要です。そのため、従来の工作機械で手作業を専門としていた製造工場などでは、改めてNC工作機械を操作するための知識を学習しなければなりません。
また、加工の目的や素材に合わせてNC工作機械を選定することも必要です。
NC工作機械といっても実際には用途に応じて様々な種類が存在しています。ここでは金属加工の現場で用いられる代表的なNC工作機械の種類を紹介します。
NC旋盤とは、NCプログラムによって制御されている旋盤であり、ワークを切削加工するために用いられるNC工作機械です。
NC旋盤では加工に用いるバイトを自動的に交換しながら、外周削りや穴あけ、ねじ切り加工といった複数の加工作業をオートメーション化することができます。
切削位置や範囲、工程をあらかじめプログラミングすることで、作業員が手作業で加工を行う必要がなくなり、作業の省力化や省人化、効率化などをまとめて目指せることが特徴です。
マシニングセンタは切削加工を目的としたNC工作機械の1種であり、フライスや穴あけ、中ぐりといった切削加工をまとめてNCプログラムで制御・再現することが可能です。
マシニングセンタはNCプログラムを活用した自動制御と、自動工具交換装置を組み合わせることで、無人環境でも自動的に動作させることが可能となっており、24時間体制の製造ラインを構築する上でも効果的となっています。
また回転テーブルを併用することで複雑な三次元加工にも対応します。
ターニングセンタは、NC旋盤とマシニングセンタを融合させたNC工作機械であり、ターニングセンタを導入することで外周削りや穴あけ、フライスといった複数の切削加工をまとめて効率化することが可能です。そのためターニングセンタは「旋盤形複合加工機」と呼ばれることもあります。
回転テーブルを使ってワークを回転させながら切削加工を自動化することができるため、複雑な形状の加工も24時間体制でオートメーション化できることが特徴です。
NCフライス盤は、文字通りフライス加工をNCプログラムで制御するNC工作機械です。
NCフライス盤では、フライスやエンドミルと呼ばれる切削工具を高速回転させ、ワークの任意の部分を削ることで目的の形状を実現することができます。
なお、フライス加工を行うNC工作機械にはマシニングセンタやターニングセンタもありますが、NCフライス盤は自動工具交換装置が備わっていないため前者と違って切削工具を作業員が交換することが一般的です。
ボール盤はワークへの「穴あけ加工」を行うための工作機械であり、NCボール盤は文字通りNCプログラムで制御されているボール盤です。
あらかじめ穴の位置や個数などを数値として設定しており、複数のワークでも正確に穴あけ加工を繰り返せることがメリットとなります。
穴あけ加工を行うドリルなどの工具を自動交換することで、複数の穴あけ加工を断続的に行えるため、製造工程の短期化や低コスト化へ役立てられることもポイントです。
CNC研削盤は、砥石を高速回転させてワークの表面を削る「除去加工」を、コンピュータ制御によって自動化するためのNC工作機械です。
作業員がコンピュータを活用してNCプログラムを入力・設定し、CNC研削盤が精密な研削加工を再現します。CNC研削盤を導入することで、ベアリングやクランクシャフトといった正確性や精密さが求められる部品に関しても品質を維持しながら量産できる体制を整えることが可能となります。
NC工作機械はNCプログラムによって制御されている工作機械であり、金属加工の現場を主として様々な業界で活用されている点が特徴です。
一方、加工ロボットはあらかじめ用意されたプログラムによって、ロボットへティーチング作業を行い、必要な作業を自動化できることがポイントです。
NC工作機械の中には自動工具交換装置を持たず、作業員が工具などを手作業で交換しなければならないこともありますが、加工ロボットや産業用ロボットでは一般的に工具交換や治具交換も自動化され、製造ラインの一部として組み込まれています。なお、作業員との同時作業を前提とした協働ロボットもあります。
産業用ロボットを製造ラインへ組み込むことで、複数の加工や作業をまとめて自動化することが可能です。一方、全ての作業を産業用ロボットによってオートメーション化するためには製造ラインの全体を刷新しなければならず、導入コストやランニングコストが高額になってしまうといったデメリットもあります。
そこで、必要な作業を産業用ロボットに任せつつ、作業員や工作機械を併用することで、コストを抑えつつ作業効率や生産性を高めるといったプランも活用されています。また、工作機械としてNC工作機械やCNC工作機械を採用すれば、リモート環境で製造ラインを管理するといったことも可能です。
金属加工を行う製造現場や製造ラインでは、目的やワークの素材に合わせて様々な工作機械が導入されており、それらをNCプログラムによって自動制御できる加工機がNC工作機械です。
ただしNC工作機械には複数の種類があり、作業全体の品質を高めたり作業を効率化したりするためには適切な導入プランが重要となります。またロボットSIerなどへ相談しながら産業用ロボットとNC工作機械を併用することで、より効果的なオートメーション化を実現し、作業の省力化や省人化、高品質化を目指せることも重要です。
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