産業用ロボットアームには4つの主要な型があり、型によって特徴が異なります。そのため、産業用ロボットを導入する際には、使用目的に応じて型を選ぶことが必要になります。
そこで、産業用ロボットアームの主要な5つ「円筒座標型ロボット・極座標ロボット」、「垂直多関節ロボット(ロボットアーム)」、「水平多関節ロボット(スカラロボット)」、「パラレルリンクロボット(デルタロボット)」、「直交ロボット(ガントリーロボット)」のそれぞれの特徴について紹介します。
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あらかじめ定められた座標を中心とする稼働範囲を持つ座標軸ロボットと呼びます。円筒座標型ロボットと 極座標ロボットは、そうした座標系ロボットの一種であり、50年ほどの歴史を持つ産業ロボットの歴史の中でも、黎明期に開発された古いタイプのロボットです。 円筒座標型ロボットは、伸縮するアーム、一つの回転ジョイント、二つの直動ジョイントからなるロボットで、比較的広い作業領域を持ち、現在でも特定の用途において一般的に使用されています。極座標ロボットは、伸縮するアーム、二つの回転ジョイント、一つの直動ジョイントからなるロボットで、現在ではほとんど使用されていません。
垂直多関節ロボットは、通称ロボットアームとも呼ばれ、現在の製造現場で最も主流な型です。ロボットの軸の数は4~7本となっており、その軸が人間の関節に近い働きをすることで、自由な動作を可能にしてくれます。
ほかの型のロボットと比べると、軸が多く動作の自由度が高いため、3次元的に動作でき、汎用性が高いのが1番の強みです。また、柔軟に姿勢を変更できるので、複数のロボットを使用しても、互いに干渉することなく使用することができます。
一方で、最適な動作をさせるためには、緻密な制御や正確なティーチングが必要になります。また、垂直多関節ロボットは、高速動作を苦手としています。無理に高速動作をさせようとすると、オーバーショートしたり振動したりする危険があります。
水平多関節ロボットは、通称スカラロボットとも呼ばれ、1980年代初めに開発された水平方向の動きに特化したロボットです。軸は4本で、すべての関節が垂直に組まれています。そのため、上下方向の剛性と水平方向の柔軟性を併せ持っており、この特徴を活かした部品の押し込み作業などを得意としています。
ほかの型のロボットと比べると、構造が簡単なため、コストを抑えることができます。また、その簡単な構造は、高速動作を可能にしてくれます。さらには、高精度なセンサーを活かして組み立て時の位置ずれの修正も行えます。
一方で、構造的な問題で垂直方向の動きを苦手としているために汎用性は低く、構造の簡単さゆえに動作の精度という点でもほかの型に劣ります。
パラレルリンクロボットは、通称デルタロボットとも呼ばれ、複数の関節で最終出力先を制御して複数のモーター出力を1点に集中させる「パラレルメカニズム」という構造を採用しているため、精度と出力の高さが魅力です。
ほかの型のロボットと比べると、可動範囲は狭いものの、精度と出力はトップクラスであるため、生産ラインの材料選別と整列といった用途に使用されます。
しかしながら、ロボットの構造上、重量物を扱うのは難しく、軽量物のピック&プレース以外の作業には活用しにくいという欠点があります。また、複雑な機構を採用しているためにコストが高くなっていることも欠点に挙げられます。
パラレルリンクロボット
(デルタロボット・高速多関節ロボット)とは
直交ロボットは、通称ガントリーロボットとも呼ばれ、2〜4つの直交するスライド軸で構成されるシンプルな産業用ロボットです。直線的な動作しかできませんが、シンプルな構造なので設計しやすいという特徴があります。
ほかの型のロボットと比べると、機構がシンプルであるため、誤動作が起きにくく、一度設計すればブレが少ない高精度な動作が可能です。さらに、低出力で広範囲の動作ができるため、長時間稼働させる上では大きなメリットといえます。
一方で、価格は控えめだといえます。多少大がかりなシステムを構築したとしても、コストは抑えられます。そのため、既存の生産ラインの補助目的でも、本格的な自動化システムを構築する目的でも活用が可能です。
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4つの主要な産業用ロボットアームの型についてまとめました。それぞれのロボットの特徴を理解し、その特徴にあったシステムを構築することで、より生産性の向上が見込めます。
産業用ロボットの特徴について知っておくことはもちろん大切ですが、自社の課題を分析し、適切なソリューションに導いてくれるロボットSIer企業にコンサルティングを依頼するのもいいでしょう。
双腕ロボットとは文字通り、2本のアーム(腕)を備えている産業用ロボットです。また、人間と同様に2本の腕を使った作業を再現できるため、作業員と同じ現場で一緒に働ける協働ロボットとしても考えられています。
双腕ロボットには大きく垂直多関節型ロボットと水平多関節型ロボットの2種類があり、それぞれのロボットに特性や適した用途が考えられるため、まずは双腕ロボットのメリット・デメリットと合わせて把握しておきましょう。
産業用ロボットの基礎知識・用語
使いやすく、安全機能も搭載した協働ロボット一体型システムを提案。作業スペースの位置を自動で補正し、単純作業だけをロボットに任せて作業効率を向上。
ラインビルダー事業を持ち、複数の産業ロボットを連携させて自社の大型工場で同じレイアウトを再現したラインビルディングを提供。
ロボットシステムとAIシステムのどちらのシステムも構築している日本唯一(2024年6月調査時点)の企業。産業ロボットとAI技術を組み合わせて工場全体の自動化と可視化を提案。